警備員のバイトで初仕事が窃盗の張り込みだった

仕事警備業

いやあ~、人生って本当に何が起こるかわからない。
刑事ドラマじゃあるまいし、まさか自分がこんな体験をするとは思いませんでした。

定番メニューのアンパンと牛乳。
記念に、試しておくべきだったかな。

まあ実際、そのときは初仕事ということもあり、そんなことを考えるゆとりはなかった。
でも、警察や探偵気分がまったくなかったかといえば噓になるかもしれません。

なぜなら、時がかなり経過しているにも関わらず、今でもけっこう自分の頭の記憶に残っているからです。

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窃盗の張り込みに必要なスキルとは?

ある地方の大学を親の承諾を得ず勝手に休学したこともあり、なんか実家に戻りづらい。
かといって、そこにずっと住み着くわけにもいかず。
どこへ行くにもまずはお金ということで、選んだのが警備員のバイト。

募集欄に交通誘導員と書いてあったから、応募したんですけどね。
これならまあ、社会経験の浅い自分でもどうにかやっていけるだろうと。
警備会社の言っていたことは、間違ってはいません。
張り込み期間が過ぎた後はずっと誘導棒を持ち、車の流れを止めたり進めたりしていたので。

ただ、たまたま、タイミングが悪かったのか⁉良かったのか⁉
警備員講習を終えた後、仕事の段取りを決める上司から「来週の月曜の夜、ここに来てくれるかな。2人一組で見張りの仕事をしてもらうから」と。

1人はベテラン社員。
もう1人どうするか。
急に舞い込んできた仕事らしく、すぐに調達できるほど人員に余裕がない。
仕事内容は、基本、車内で待機と実にシンプル。
新人でもOK
一応、同じ日に講習を受けた人材が他に2人いたのですが、どちらも若い女性。まだ彼女らに深夜労働させられる時代ではないということで。
男性かつ自動車の免許を所持していることから、私に白羽の矢が立ったのでしょう。

断ることもできたと思いますが、普通に「はい、わかりました」と即答。
当時は何事も経験と前向きに捉える傾向があったので、特に心配はしませんでした。
あと、この仕事と引き換えというわけではないでしょうが、社用車を借りることができたのはありがたかった。
通勤はもちろんのこと、プライベートでも遠慮なく使わせていただきました。

窃盗の張り込みの依頼主の事情と環境

クライアントは工場の所有者か社長。
倒産した会社だったか不明だが、工場は機能停止していて、電気も水も使える状況ではなく人もいない。
門の扉はチェーンで雁字搦めに封鎖されている。
その工場の中にある機械を、泥棒から守ってほしいとの要望。
と、この内容は全部一緒に現地に向かったベテラン社員から聞いた話で、普通の警備員が顧客と会ったり話したりすることはまずありません。その役は、たぶん営業担当。

果物や電線に比べると、機械の窃盗の話はニュースなども含めてあまり耳にしませんが、材質や希少性からしてその分野ではかなり値打ちがあるものなのでしょう。
仮に2度と使わないにしても、盗まれるより売ったほうがはるかにお得。
工場の所有権を持ったことはありませんが、警備会社に依頼してでも死守したいというクライアントの気持ちはなんとなくわかります。

防犯カメラはどうっだのか。
設置されててもおかしくないけど、ただ、これ犯行の一部始終が記録されるだけで、完全に防げるわけじゃないんですよね。
後になって犯人を検挙できても、肝心の物がすでに処分された後では、取り戻すのも一苦労。
それなら、高い確率で防げそうな人物を置いておこうと。

窃盗の張り込みは、本来、警察の実務のような気もしますが、やはり事件が起きた後でなければ動けないのかな。
探偵も似たようなことができそうですが、こっちは浮気メインっぽいですね。防犯目的で頼むところじゃない。
となると、残りは警備員。
もし自分で体験しなかったら、こういうこともやるんだと知らずに人生を終えていたかもしれません。

窃盗の張り込みをした場所、時間、服装、内容

工場内は建物と機械以外何もない無人の空間。
高い壁に囲まれ猫一匹入る隙もないというのはいささか大袈裟ですが、少なくとも中に入るためには梯子のようなものが必要になるでしょう。
なので、警備員が待機する場所は工場内ではありません。お金がかかりそうなアパートやマンション、ビルでもなく、警備会社から借りた社用車の中です。
さきほどもいったように、ベテラン社員とペアで車1台ずつ。
この上司は現場のまとめ役みたいなポジションで、ずっと現場にいたわけではありません。他の現場の見回りもしているようで、私一人になるときが何度かありました。

張り込み時間は夜の8時から翌朝8時まで。
この辺り、記憶がちょっと曖昧だけど、おそらく昼担当との2交代制だったと思う。
人生初の12時間労働。
でも、そんなにきつい印象はなかったです。
ただ、ボーっと工場の門のほうを見ていただけですから。

服装について。
刑事ドラマだと、スーツ姿が多いですね。警察の場合、防犯というより逮捕目当てでしょうから、警戒される制服姿で張り込みはしないでしょうね。
一方、こっちは盗むなよという警告の意味合いが強いので、守っていることが一目でわかる警備服で仕事をしていました。
ちなみに、この服は会社からの支給品で、給与から天引きされるようなことはなかったです。

肝心の仕事の中身ですが、本当に車の運転席に座っているだけです。
工場の門までの距離は50mくらい?だったか。
別に泥棒を捕まえて警察に引き渡すって話じゃないですからね。
怪しい人がうろうろしていたら報告してほしいという要望。
そもそも、私の役割はベテラン社員のサポートです。この上司がいなかったときの保険。突然、体の調子が悪くなることもなくはないですから、だからこその二人一組です。

立ち仕事でもデスクワークでもない。
ただ座ったまま、ある特定の場所を見つめるだけのこの作業。
何もしないというのも、時間が長く感じるので、途中、雑誌とか読んだりもしましたが、周囲が暗いこともあり、目が疲れるばかりであまり楽しめない。そのため、ラジオを聞いている時間のほうが多かったかな。
あと、仮眠はとっていました。ベテラン社員と交代で1時間おきくらいに。
食事も、お茶とおにぎりなどの軽食。
だから、実質の労働時間は6時間ないかもしれません。

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窃盗の張り込みをしていたら本当に怪しい人影が⁉

食べ物のなのか、電化製品なのか、何を作っている工場なのかは不明。
ただ、どことなく暗い、重苦しい、鉄くさいような雰囲気から、車などの部品を作っている会社なのかなと勝手に想像していました。
当然ながら、中の生産設備と思われる機械のサイズは大きい。
とてもではないが、人力での運搬は困難だと思う。それこそクレーンのようなもので吊らない限り、相当大変なのではないかな。

ですから、人目につく昼はない。
来るとしたら深夜かなとは思っていましたが、まさか本当に現れるとは⁉
それも街中ですよ。
山ではなく、周囲は一戸建てやビルだって建っていたのにもかかわらず、堂々と、早朝5時ちょっと前くらいに。
目に見えた限り、大型トレーラーが3台
作業服を着た数人の男性が、門の手前で何やらひそひそ話をしている。
そこからはベテラン社員の出番です。
私に「車の中にいて」と言って、門のほうに向かいました。

2、30分くらいは話し込んでいたと思います。
これもまた又聞きですが、彼ら(窃盗の疑いがある集団)は誰かに工場の中にあるものを運んでくれと頼まれたらしいです。
泥棒ではなく仕事⁉
一応、ベテラン社員は車のナンバーを控えていたようです。
そして、門に鍵がかかっていてどうにもならないことを知ると、その大型トレーラーの運転手たちは去っていきました。

う~ん、正直怖かったです。
やはりテレビで見るのと、自らが体験するのでは緊張感がまるで違います。
もし私一人だったら、果たして彼らに立ち向かうことができたのか、かなり怪しい。
ちょっと警備の仕事を舐めていたと反省しました。

窃盗の張り込みをしてみた感想

私がこの現場にいたのは、月曜から金曜までの5日間。
その最終日に怪しい人影が現れたのですが、それ以降のことは、別の人と交代したこともあり、よくわかりません。
バイトの分際で「その後、どうなりました」と尋ねることはできませんし・・・。
ただ、取り立てて社内でこの仕事の噂が飛び交うようなことはなかったので、無事契約が満期を迎えたのだと思います。

張り込みをしたのは、後にも先にも、この1回限りです。
「やってよかった?」と聞かれると、
収入の面では大満足です。残業手当や深夜手当がつきましたからね。5日間で、少なくとも6万以上は手にできたと思います。
この経験が、何かの生活で役立ったかというと、ほぼほぼゼロに近い。
一晩中、車の中にいただけですから。
20歳という貴重な時間を、無駄にしたといえなくもない。

疲労についてはあまり気になりませんでしたが、これがひと月もふた月も続くとなると、かなり応えたかも。肉体的というより精神的に⁉
車中泊は危険といわれる理由がなんとなく頷けます。

あと、用足し。
仮設トイレなんてものは当然なく、現場近くを流れていた小川で適当に済ませました。
本当はイケないことなのでしょうが・・・。
こういうときコンビニのトイレを借りることがたまにありますが、何かを買わないと申し訳ないですし。
張り込みは、女性でも十分務まる仕事だと思いますが、やはり、トイレ等の問題を考慮すると男性向きなのかなあ。

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